【知らないと怖い】株式譲渡が無効に!?株券発行会社の落とし穴


株式譲渡の手続きが終わったと思っていたのに、
実は法的に譲渡が無効だった――
そんなケースが意外と多く存在します。
今回は、「株券発行会社なのに株券を交付せずに譲渡してしまった」ときに生じるリスクについて、触れたいと思います。


目次

株券発行会社とは?

現在の会社法では、株券を「発行しない」のが原則です(2006年の法改正以降)。

この改正によって、新しく会社を設立する場合は、特に何もしなければ「株券を発行しない会社」になります。
しかし、もともと旧商法のもとで設立された会社の多くは、当時のルールに従って「株券を発行する」と会社の定款(=会社の基本ルールを定めた文書)に書かれており、それが今もそのままになっているケースが多く見られます。

つまり、法改正があっても、「自動的に」株券発行会社から非発行会社に切り替わるわけではありません。会社が自ら定款を変更して「株券を発行しない」と明記し直さない限り、今も「株券発行会社」として扱われ続けるのです。

さらに、当時の定款変更をしていない会社は、登記簿にも「株券発行会社」としての記載が残っていることがあります。そのため、本人たちが気づかないまま「株券発行会社」として法的に扱われるリスクがあるのです。


株券を交付しないまま株式を譲渡すると?

株券発行会社では、株式を譲渡するには株券の交付が必要です(会社法128条)。
つまり、譲渡契約を結んでも、株主名簿を変更しても、株券がなければ法的には株主は変わっていないという扱いになります。


株券なし譲渡が招く、具体的なリスク

① 譲渡先が会社に対して株主と主張できない

株券が交付されていないと、会社から見れば“株主は変わっていません”。議決権も配当も認められない可能性があります。

② 元の株主が二重譲渡してしまうリスク

元の株主が、さらに第三者に株式を譲渡し、株券を渡した場合、第三者の方が正式な株主とされる可能性があります。

③ 売買当事者間のトラブルに発展

「代金は払ったのに株主として認められない」と、訴訟や損害賠償に発展するケースもあります。


なぜ、この「うっかり」が起こるのか?

この問題が起きる原因の多くは、以下の通りです。

  • 会社の経営者や関係者が、自社が「株券発行会社」だと知らない。
  • 株券をどこかにしまい込んで紛失した、見当たらない。
  • 手続きを急ぐあまり、確認や必要な手順を省略してしまった。
  • 「今はもう株券なんて関係ないだろう」という思い込み。

株式譲渡の前に【必ず確認】を!そして、少しでも迷ったら専門家へ

安全な株式譲渡のために、まず行ってほしいこと。
それは、会社の定款を確認し、「株券を発行する」会社かどうかを確認することです。登記簿を確認するのも有効です。

もし株券が見当たらない、あるいは定款や登記簿を見てもよく分からない、といった場合は、決してそのまま手続きを進めないでください。

「うちの会社は?」「株券が見当たらないんだけど、どうすれば?」
— もし、少しでも不安や疑問を感じたら、それは専門家にご相談いただくサインです。

私たち専門家は、貴社の状況を正確に判断し、株券の有無に応じた最適な手続きをご提案します。
後々の「無効だった!」といった深刻なトラブルを防ぎ、安心・確実な株式譲渡を徹底的にサポートいたします。大きな問題になる前に、まずは一度ご相談ください。

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