【中小企業の経営者向け】会社が動かない「デッドロック」について

「会社がうまく動かない」「株主同士がもめて会議すら開けない」
そんな状態に陥っている中小企業からのご相談を受けることがあります。

このような状況は「デッドロック」と呼ばれ、意思決定ができず、会社が前に進めなくなった状態を指します。
よくある原因は、次のようなケースです。

  • 株式を全員が平等に持ち合っており、関係の悪化により話し合いができない
  • 複数の株主間で意見が割れ、決算や重要な方針が決まらない

「このままでは会社が立ち行かない。解散しかないのでは?」
そう考える方も少なくありませんが、解散するには株主総会での手続きが必要です。

話し合いが難航する場合には、最終的に訴訟手続きが選択肢に挙がることもあります。
ただし、会社の解散を裁判所が認めるには、法律上の要件を満たす必要があります。
※なお、紛争対応や訴訟などの法的手続きについては、弁護士の関与が前提となります。


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決算が承認されていない…それだけでは「解散の理由」にならない?

たとえば、次のような状態は、デッドロックの一種といえます。

✅ 株主総会が開けない
✅ 決算が毎年承認されない(ただし会計書類は税理士が形式的に作成)
✅ 何も決まらず、会社が動いていない

もっとも、裁判で会社の解散を求めるには「やむを得ない理由」が必要であり、
単に株主総会が機能していないだけでは、十分とはいえません。


裁判所が解散を認めるのは、どんなとき?

近年の裁判では、次のような点が判断材料とされているようです。

  • 会社が完全に機能停止しているか(取締役会は機能しているか)
  • 現状を放置すると、大きな損害を受けるおそれがあるか(例:債務超過など)
  • 他に現実的な解決策がないか

逆にいえば、以下のようなケースでは解散が認められなかった事例もあります。

  • 株主総会は機能不全でも、取締役会が正常に動いている
  • 税理士が会計書類を作成しており、会社は黒字の状態で、損害も深刻とはいえない

💡 ポイント
会社として最低限の機能を果たしていれば、
「揉めているから=解散できる」とは限らないという点に注意が必要です。


【まとめ】トラブルを未然に防ぐ仕組みを

会社が止まってからでは、できることが限られます。
特に、家族経営や少人数の会社では、事前に仕組みを整えておくことが非常に重要です。


💡 事前対策のポイント

  • 権限を柔軟に設計する「種類株式」の活用
  • 代表権や議決権の調整による意思決定の安定化

「少し不安かも」と思ったときこそ、見直しのチャンスかもしれません。
将来のトラブルを防ぐためにも、早めの準備が功を奏します。

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